リーバイス501と炎のさだめ
人類は、猿から進化したといわれており、
体を覆っていた毛皮は退化してしまったわけで、
外に出るときには、裸のままでは捕まってしまうので、
何か服を着なくてはならない。
コーディネートに困ったとき、
「とりあえずビール」
という感覚で、ボトムはリーバイス501を選ぶことが多い。
この世に存在する全てのジーンズの原点がこのリーバイス501。
いまどきフロントボタン。
洗えば縮んでしまう生地。
それこそが501の個性である。
リーバイスのCMに出演していた映画評論家の水野晴郎さんとジョン・ウェイン、パトリック・ウェイン
リーバイス501よりも高いジーンズもあれば、安いジーンズもある。
しかし、それは、このリーバイス501を指標として派生したということであり、
つまり、それ以外のジーンズは「なんちゃってジーンズ」なのである。
金銭的に苦しい学生時代、この原点を履いていることで、
「俺はおしゃれには力は入れないけど、でも、ポリシーはあるぜ」
という存在感を示すことができた。
1848年 アメリカ西海岸でゴールドラッシュが始まり、
ジーンズは、砂金を掘っていると従来のズボンでは
すぐ破れて困るということに着目した1851年にリーヴァイ・ストラウスさんが(リーバイス創業者)が発明した。
この501は、現在でも生産されていて、年代ごとに、仕様がコロコロ変わるので、
マニアの間では、コレクターズアイテムにもなっているようだ。
とはいえ、ジーンズは、もともとは作業服であるので、
私は、そこまで、深入りはせず、現状で入手できるモデルで、どこかの古着屋で安くて適当なサイズがあれば、
買い溜めしておくような服であると思っている。
まだ下ろしたてならば、上にジャケットやポロシャツを合わせれば、ちょっとこぎれいに着こなせる。
少し色あせてきたら、夏はTシャツ、冬はダウンジャケットと組み合わせてカジュアルに。
そして穴が開いてしまったら日常の作業用の野良着にする。
大量生産されていつでも手に入る定番。
安く買えて、遠慮なく使えて、目的が果されれば、ポイッと捨てられる。
だけど、存在感は出せる。
もし、リーバイス501をロボットにたとえるならば、
SFアニメ「装甲騎兵ボトムズ」に出てくる。
AT(Armored Trooper アーマード・トルーパー) スコープドッグのようである。
↑これは、タカラのおもちゃチョロQ風にディフォルメされた『チョロQボトムズ』
ロボット物としても斬新で、いわゆるロボットの目、鼻、口という顔がなく、顔に当たる部分は
三つのカメラレンズのみで構成されている。
ATのスコープドッグは主役機でありながら、武器として大量生産され、
壊れたら直すし、直せなければ躊躇なく捨てられる、もしくは拾う。
そして、乗り手の使い方によってカスタムされるのだ。
これも作業着として機能する501と同じように
ATも戦闘機としてのみ機能すれば、華美な装飾などいらないというストイックさがある。
そんなふうに思いながら、501を履くときは、脳内で「炎のさだめ」がリピート再生されてしまうのだ。
なお、501は、アメリカでの生産を終了してしまい、
今では北米地域の生産国はメキシコ、グアテマラ、ドミニカが請け負うようになってしまった。
「501は本国 アメリカ生産」という図式が、このジーンズのアイデンティティのひとつでもあると思うのだが、
強い者が生き残ったわけではない。
賢い者が生き残ったわけでもない。
変化に対応した者が生き残ったのだ。
チャールズ・ダーウィン『種の起源』
というように、501もまた、これからも変化していくのだろう。
メキシコはアメリカと陸続きであるので、そのスピリッツは受け継がれていかれるものと信じたい。
カテゴリー: こだわりの音楽とファッション