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たどりついたらいつも雨ふり

70年代は、今のように
数える程度のヒーロー番組ということはなく

有名無名どころから、
いくつもの作品が放送されていた。

そんな中、1974年に月光仮面でおなじみ
川内康範原作の「ダイヤモンドアイ」の後番組として「電撃!!ストラダ5」がスタートする。





国際的犯罪組織に対して結成された
国際警察の秘密チーム男性四人、女性一人という構成で、放映当時は、
東映制作の秘密戦隊ゴレンジャーなどで有名なスーパー戦隊シリーズすらもはじまっていない頃である。

まだ、今のように、途中で追加戦士が投入されるとか、決着は巨大ロボットでとどめをさすとかそういったルーチンな流れすらもなく、
良い意味で型にはまっておらず、
荒削りながらも限られた予算の中で面白く作ってやろうという作り手の気概が感じることができる。

30分番組なので、子供向けのヒーロー番組なのだろうが、変身するのではなく、私服から戦闘着に"着替え"て戦うのである。

特撮というほど、特殊な効果もなく、キレのある肉弾戦がメインで無国籍アクションというジャンルなのだろうか。

出演が日活アクションシリーズで「エースのジョー」として知られる宍戸錠氏=高村輝次郎/ジュピター、
渋い演技力で定評のある地井武男氏=殿村幻次郎/オリオン(ストラダ2)、
番組放送後に「仮面ライダーアマゾン」で主演することとなる岡崎徹氏=堀田貫介/ペガサス(ストラダ1)
「飛び出せ!青春」などの学生役などで活躍する剛達人氏=竹中一念/アポロ(ストラダ3)、
前年に「ワイルド7」で主役を演じた小野進也氏=宝木正/ルナ(ストラダ4)、

そして、主題歌を担当されているのは、
"ワルサア ピイさんじゅうはち~ このてのお なかにいーい"
「ルパン三世」の主題歌を担当されたチャーリー・コーセイ氏。

世界征服を企むビッグノヴァの首領ミスターアスモディの声を、"悪役の中の悪役"、飯塚昭三氏が充てている。

当時では、豪華なキャスティングであろう。

ただ、その中で、ヒロイン、星カオリ/アンドロメダ(ストラダ5)を演じる、山科ゆり氏だけは、経歴が分からず、「薄幸そうなクールビューティなこの方は何者だろう?」と気になって、調べたところ、なんと、当時、ロマンポルノ女優だと知る。

たしかに、現代の戦隊モノでも、元AV女優が悪のヒロインとして登場することはよくあるが、
現役で子供向け番組でヒロインを演じてしまうという、ぶっ飛んだキャスティングである。

制作当時の日活は、もう、かつての無国籍アクションシリーズや青春モノでヒットを飛ばした"にっかつ"ではなく、低予算な成人モノで糊口をしのぐ「日活ロマンポルノ」の時代であった。

登場人物の顔と名前もそろそろおぼえたかなあと思った頃、悪の首領も、正体は分からないまま、プツンと終わってしまう。

当時のことはよく分からないが、なにかのつなぎとして作られた番組のようである。
視聴率による打ち切りという事情ではなく、人気があろうとなかろうと、この番組は1クール全13話、放映開始時にはすでに撮影が終わっていたそうである。

顔出しのヘルメットと戦闘服というチープなコスチューム、市販車にステッカーを貼っただけのマシン。

子供向けのおもちゃすらも出ていなかったと思う。

さて、山科ゆり氏の存在感がどうも気になり、かつて出演されていた映画を見てみた。

「濡れた荒野を走れ」という73年作のロマンポルノである。

この作品でも、地井さんと共演しているので、さらに驚かされる。

晩年のお人よしで、人懐っこい地井さんでなく、
ギロリと眼光鋭い刑事を熱演している。

脚本を、後に「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」を監督することとなる長谷川和彦氏が担当、監督の澤田幸弘氏も、「太陽にほえろ」「西部警察」といったハードな刑事モノを手がけられており、

単なる成人映画ではなく、"やるせない公僕(刑事)の行き場のない衝動"、"火遊びに憧れる青い性"といった描写も見事に表現されている。

また、作品内で鈴木ヒロミツ氏率いるモップスの名曲「たどりついたらいつも雨ふり」が、とても効果的に使われる。




当時の、円柱状のサイレンのパトカー、黒い固定電話、トランジスタラジオ、反戦運動、アングラ劇団といった風俗やアイテムも見ていて楽しめた。

70年代というと、どうもほこりっぽく、60年代のように、ただアメリカに憧れていたピュアな感性がくもり、オイルショックでしらけてしまった貧乏くさいイメージがあるかもしれない。

だけど、なぜか引き込まれてしまうのである。

ファッションやカルチャーは20年ごとに繰り返すというので、90年代もたしかに、ロングヘアの男性や、ベルボトムまでは行かないけど、ブーツカットの裾広がりのジーンズもリバイバルした。

ということは、また、そろそろリバイバルするかもしれない。


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